私たち京都府立医科大学皮膚科学教室は、1897年に開講され今年で113年目を迎えました。私は9代目の教授として2009年8月からこの教室を担当しています。
皮膚を通じて患者さんの心身の苦痛の軽癒に全力を尽くす医療を行い続けること、臨床で生まれた問題を解決するための研究を確実に前進させ臨床に還元すること、そして問題の本質を見極めて自信を持って医療を行える心優しい皮膚科医を育て互いに高め合うことを目指して、教室の理念を「一人ひとりが世界に誇れるマイ・ダーマトロジーを確立することを目指す」にしました。教室員が切磋琢磨しながらそれぞれの夢に向かって進みつづける、活気にあふれる皮膚科医の集団をつくっていくのが私の夢です。
私たちは、皮膚、毛髪、爪や口腔・外陰部粘膜など身体の表面にあらわれるすべての疾患を対象にして、診療、研究、教育を行っています。特に教室の伝統であるアトピー性皮膚炎、接触皮膚炎、乾癬、じんま疹などの炎症性皮膚疾患、腫瘍性疾患や難治性皮膚潰瘍などの皮膚外科疾患、さらには脱毛症や色素異常症などの専門外来を設けて高度かつ先進的な診療を行うと共に、これらの疾患の病態の解明と新たな治療法の開発のための研究に、教室員が力を合わせて取り組んでいます。
当教室で研鑽を積んだ医師が皮膚科の常勤医として勤務するいわゆる関連病院は、京都府、滋賀県、大阪府および兵庫県に23病院あります。また当教室に在籍した医師の同門会である橘蔭会には約200名の会員がいますが、それぞれが京都を中心に全国で皮膚疾患の診療に重要な役割を担っており、病診・病病連携、症例検討や勉強会を通じて、たがいに向上を図っています。
皮膚科学は間口が広くて奥が深く、実に魅力的です。夢を求める若いみなさんとともに、未来の皮膚科を切り拓いて行くことを楽しみにしています。